「」さんのページ
5点 彼氏彼女の事情
読み切りで最初に連載された短編のコメディ調の雰囲気は少女漫画にしては珍しいくらいの男性でも読みやすい漫画。
「見得」と「他者からの羨望の眼差し」だけが生き甲斐だった雪野が有馬と出会って、恋を知り愛へとステップアップしていく過程は決して平坦な道のりではなかった。
そこに周囲の友人たちの存在が加わり、当初は敵対関係だった相手でさえも「雨が降った後には」頼れる味方になった。
連載が続いていく以上、最大の山場が「有馬の過去」であろうことは連載当初から示唆されており、避けては通れない問題だったが、やはり初期のコメディ路線は影を潜めシリアスな展開の数々は正直見てて息苦しかった。
能力や個性ではどの登場人物も優れていたという漫画も珍しいが、彼らは彼女らは皆「それ以外の大切なもの」を求め、悩み、葛藤し、激しくのたうった。いつも常に前向きな気持ちを失わなかった。だからこそ全ての登場人物が大きく成長できたのだと思う。決して能力の高さだけで手に入れた幸せではない。
最終回のラストで「ああ 面白かった。疲れた-」って言って死ぬのが夢なんだという雪野のセリフ。
手に入れた幸せも永遠のものではなく、「いつか終わりが来るもの」と意識して生きていることがよく分かった。別れを恐れない強さは多くの愛を知っている故ではないかなとも思うのです。
ただ・・・成功・成功ばかりの仲間たちの人生は読んでる側には薄っペらいと感じられるのは確かだし、前半と後半の雰囲気がまるで別物なので初期の作風に惚れた多くの人をガッカリさせたことは否めまい。
津田先生は「長編」より「短編」のほうが上手い方ですね。
長編になると「初連載」というハンデを除いても「風呂敷を上手くたため切れていない」。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-11-18 23:51:57] [修正:2010-11-18 23:51:57] [このレビューのURL]
あくまで個人の感想であるが、
この漫画はただ痛々しい現実が描かれているだけであり
そこに新しい価値観や発想
作者の創作センス等を感じることはできなかった。
痛々しいだけのどうしようもない事を考えても暗くなるだけで
何の意味もないというかそんな事ばかり考えてたらうつっぽくなる奴もいると思う。
問題提起っていうけどこの漫画で取り上げられてる問題は当事者以外は生きていくうえで考える必要が全く無い事だと思う。
考えてはいけない、考える必要が無いことを考えさせられる漫画という印象。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-11-17 01:52:51] [修正:2010-11-17 01:56:50] [このレビューのURL]
9点 アカギ
麻雀漫画としての完成度も高いですが、この漫画は天才・赤木しげるの生き様にこそ魅力がある漫画だと思う。赤木しげる自体、まるで麻雀版・矢吹丈とも言える。痺れる勝負をするためならば己の命を守ろうともしない様が凄い。
今現在、鷲頭麻雀の長さには確かに辟易しますが、決して手を抜いてると言う訳では無いというのは理解できます。けど、そろそろ先を見たいな、とは思う。そう思わせるだけでもこの作品は凄いものだとも感じます。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-11-15 23:58:45] [修正:2010-11-15 23:58:45] [このレビューのURL]
9点 LIAR GAME
頭脳明晰で冷静沈着な秋山。お馬鹿で感情的な直。
真逆の性質の男女が、志同じく助け合う姿がいい。
ゲーム上でも精神的には常に2人セット。
負債を背負って、運命を共にする方法を選ぶところなんかも、
そこらの少女漫画よりよっぽど精神的結び付きが描けていると思う。
かといって馴れ合わず、一定の距離感のある微妙な関係。
直がお人好し過ぎてイラッとくる場面は多々あるものの、いやだからこそ、
それをどっしりサポートしてくれる秋山の魅力が光る。
しかし毎度毎度、よくこんな面白いゲームを。
密輸ゲーム?感染ゲーム?どこからそんな発想が。こんな椅子取りゲームは前代未聞。
ゲーム進行上刻々と変化する状況を、対戦相手の心理描写や策略も踏まえながら丁寧に追っていく
やり方は、単純に良く出来ていると思う。臨場感があって読者も楽しめる。
ついでにみんな「はあっ!?」の表情がイイ。
特にフクナガとヨコヤ。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-10-05 18:05:07] [修正:2010-11-15 17:40:11] [このレビューのURL]
7点 リバーズ・エッジ
大学の図書館にあったくらいだから、高い評価を受けた作品なんだろうし、浅野いにおが比べられてしまうのもわかる。
彼の綺麗で作り込まれた画とは対照的なPOPでゆるーい画
ならば内容は、浅野氏が深く重々しく、岡崎氏が浅く軽快になるべきだろうが、そこでは逆転現象が起こっている。
とはいえ浅野作品はその「軽さ」が魅力であると思っているし、RIVER'S EDGEが底知れない深みのある作品だとも思えない。
多用される(主に主人公ハルナの)モノローグの中に深みを感じる言葉があったかと思えば、すぐに否定しだすし、親しみを持ちやすいのはハルナだけで後は皆少々狂い過ぎている。
それに「ソラニン」と比べるのなら、この作品にはあまりに希望も救いも無さすぎる…
だがそれが良い
ハルナが悟ったようなことを言えないのは、彼女が若者だからであり、
吉川さんと山田くんが達観してるのは、二人が狂った人間で、それでいて「平坦な戦場で生き延び」ているからだ。
希望も救いもないのは、この作品がよく起きる「惨劇」の話だからだ。
アホな日常、たいくつな毎日のさなかに、それは、風船がぱちんとはじけるように起こる。
それでも僕らは、何かをかくすためにえんえんとお喋りをする。
その街の河の端(リバーズ・エッジ)には、狂気と明日が、流れ着く。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-10-18 03:18:50] [修正:2010-11-15 03:23:06] [このレビューのURL]
10点 無限の住人
『ベルセレク』『CLAYMORE』『人魚シリーズ』『無用ノ介』『火の鳥』など、
様々な要素が入っている。
絵は、独特で不安定なところがあるが、
そこが有機的で美しく思う。
飛翔感のある動き
生活感の漂う背景
新鮮な演出
仕草による 繊細な感情の描写
完璧です。
万人受けはしないかもしれないが、
人間の限界、儚さ、愚かさ、痛み、達成と同時に訪れる虚無感、
愛(母性)も悪(破壊衝動)も
全て、本能だということ
そして、
「無常」だからこそ かけがえの無いものであるということ
ありきたりな言葉だが、そんな事を教わりました。
わたしの中では、No.1の作品です。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-11-13 00:23:50] [修正:2010-11-14 22:40:34] [このレビューのURL]
10点 人間交差点
矢島正雄氏+弘兼憲史氏の油が乗り切った渾身の集大成作品。
青春時代に本編に巡り合えた幸福を感じます。
毎回、読み切りのオムニバス形式なので、原作者矢島正雄氏の貢献大なるも
以降の同氏作品にも色濃く影響が残っていますので、
原作者と漫画家の分担というより、文字通り共同作業がうまく共鳴したと
感じさせます。裏方さん達のご苦労も偲ばれます。
中にはハズレもありますが、珠玉の作品群が一級品の名作の輝きを
放ちます。
私にとって、日本が世界に誇る最高級の漫画と言わざるを得ません。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-11-14 10:15:03] [修正:2010-11-14 10:18:43] [このレビューのURL]
5点 からくりサーカス
サーカス団の日常が中心のサーカス編と
自動人形との戦いを描くからくり編。
それぞれに散りばめられた伏線をきっちり回収しつつ
一つの流れにまとめていくという構想はとても面白く、
また圧倒的なキャラクターの存在感と描写力で
見る者を引き付けてやまない、すばらしい作品でした。
…途中までは。
多くのレビューが黒賀村編からのダレを
指摘しています。自分ももちろん同感なのですが
個人的に一番がっかりしたのは最後を結局
「バトル」で決着させたことです。
二つの話がシンクロする前までは、からくり編の
悲劇を最終的に救うのはサーカス編だと思っていました。
力ずくのバトルで決着をみるのではなく、
サーカスを通じた幾多のエピソードを経て、
エレオノールの見せる笑顔がきっとすべてを氷解させると。
「世界を救うのなんて、案外こんなもの」なんて
仕掛けをこの作者ならきっと見せてくれたはずと今でも
信じています。
結局は両編のキャラクターを巻き込んでバトルに突入した
訳ですが、どうみても戦闘スペックに差がありすぎる
サーカス団連中が無理くりバトルをしている展開と、
そもそも戦闘的カタルシスはサハラ編でピークに
達していたことも相まって、後半の崩れ具合は連載時見ていて
とても辛いものがありました。
それでも前半部だけでも読む価値はありますので、読んでほしい
作品ではあります。
パウルマン&アンゼルムス戦は正直泣きました。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-11-13 15:54:06] [修正:2010-11-13 15:54:06] [このレビューのURL]
8点 LIAR GAME
ご都合的なところもあるが、先を予想しながら楽しんで読める作品。
変な引き延ばしもなく少ない巻数で終わるので集中して読める。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-11-11 21:58:13] [修正:2010-11-11 21:58:13] [このレビューのURL]
9点 ねじ式
まずこれを文庫で読むことをオススメしかねます。最低大判サイズのゲンセンカン主人、欲を言えば68年ガロ臨時増刊のつげ義春特集で読むと迫力が違い過ぎます。この話はおいといて本題です。この作品はつげ作品の「夢もの」と言われているタイプの代表作です、文学と漫画をつなげた記念碑的作品などとも言われていますが、つげさんもインタヴューでおっしゃる通り「屋根の上で見た夢をそのまま描いた」そのままだと思います。そしてそれをアウトプットし昇華させれるつげ義春はやはり鬼才なのかもしれません。一切情報がなく読んだ時に感じた衝撃はいまでも残っています。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-11-11 02:05:52] [修正:2010-11-11 02:05:52] [このレビューのURL]