「朔太」さんのページ

総レビュー数: 834レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

カイジの活躍や賭博勝負の在り様も良いけど、何より

賭博を通して社会の構図や人間を俯瞰している点ですごい。

悪党側の会長や利根川は極端な描写ではあるが、社会権力者の代弁であり

資本主義社会の正義を語らせている。

<感銘した台詞>

1.高層綱渡り:死を現実のものと受け止めて命乞いを始める者へ利根川が、

「どんな事態になってもとことん真剣になれない病。いつだって許されると

思っている。借金を踏み倒そうと極論、人を殺したとしても、自分は悪くない

自分は許される、なぜなら今起こったこの事態はあくまでも仮で、本当の自分は

あずかり知らぬこと、そう考えるからだ。・・・ゆえに奴らは30になろうと

40になろうと、自分の人生の本番はまだ先で、本当の俺を使っていないから

今はこの程度なのだといい続け、結局老い死ぬ時に丸ごと本物だったと気づく」

2.カイジの名台詞:「勝たなきゃ、誰かの養分」

3.綱渡りの最中、カイジが、「希望は、・・夢は・・・人間とは別の何か

他のところにあるような気がしていたけどそうじゃない!人間そのものが希望だったんだ」

4.会長が「貧乏人は王にならんと金を求め、逆に現在いる王の存在をより磐石に

する。そういう不毛なパラドックスから出られない。金を欲している以上、

王は倒せぬ。」

並みの社会学者や哲学者、共産主義者では想定できない極限状態だから、

説得力がある。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-10-22 18:50:38] [修正:2011-10-26 01:51:56] [このレビューのURL]

物語は昭和54年の夏から始まる。高度経済成長期の象徴である団地は、

その後日本の経済発展とともに”うさぎ小屋”と揶揄されながらも、

当時は確実に経済発展の証しだった。

団地生活を巡る日本人の家族の有り様は、昭和の時代の一断面でもあった。

日本歴史の中でもたった30年程度の短い期間だが、その時代を表現する

ために不可欠な生活様式である。

そこに焦点を当てて、昭和の家族群像を表現し、同時に今は老朽化した団地を巡って

平成の家族への変化を通じて、普遍的な家族愛を表現してみせた。

柴門ふみ以外の作家では向田邦子にしか描けない、フィールドかな。

「家族の食卓」と違った背景は、やや老齢化日本への変化が織り込まれて

いる感じか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-09-23 16:29:11] [修正:2011-09-23 16:29:11] [このレビューのURL]

3点 THE GOLDEN

本当に柴門が描いたのか、疑わしい作品。

設定もそれらしく、ストーリもそれらしいが、全くひねりがなく、

いつもの恋の切なさが全く表現できていない。

絵も何となく違っていて、アシスタントに描かせてマイナーな雑誌で

こっそり稼いだ感じ。

上述のことが事実と異なるなら、柴門も50歳になってセンスも

老いたと言わざるを得ない。残念。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-09-21 21:10:51] [修正:2011-09-21 21:10:51] [このレビューのURL]

子供は時に残酷で、平気で人を傷つけ、傷つけたことを忘れ何事も無かった

かのように大人になっていく。正義の味方であるはずのケンジですら

そうなのであって、凡人の私達はなんと罪深い存在か。

その罪が”ともだち”を生み出したのである。

このように理解すれば、長編ではあるが、どこにも破綻はなく

”ともだち”は彼らである必然性がある。


長編ではあるが、全ての伏線は、最終話に終結してきているではないか。

20世紀少年達のひりりとした悲しみを痛みを21世紀に持ち越して。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-09-13 21:08:24] [修正:2011-09-13 21:08:24] [このレビューのURL]

素の遥がキュートだが、タレントはるかがどんどん売れていくあるいは

成長していく原因がやや偶然で、必然性がないので説得力に欠ける。

厳しい芸能界と言いながら、売れる魅力がいまいち表現できていない。

芸能界の裏って、この程度なの?

やくざ屋さんとの関係もあるはずだし、利権を巡る裏工作に迫力もない。

10巻でもう満腹感が出たので、最後まで読んでません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-08-30 22:59:19] [修正:2011-08-30 22:59:19] [このレビューのURL]

1979年デビュー、1981年出世作「PS俊介です」の次に出た柴門ワールドの

原点作品と言えるだろう。東京ラブストーリー他の代表作ほどストーリは

洗練し切れていないが、20代後半の女性に的を絞った世界観を見せる。

若い男と女の揺れ動く心の葛藤と心理が荒削りだが巧みに描かれている。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-08-30 22:49:03] [修正:2011-08-30 22:49:03] [このレビューのURL]

7点 YAWARA!

主人公 柔が本当にキュートなので、どんどん応援したくなる。

16歳から23歳までの公式戦で実は、不戦敗1回以外に負けていないけれど、

常に好敵手との戦いが待っていて、ハラハラドキドキです。

スポーツものとしての戦い場面も魅力ながら、柔道よりも普通の女の子になりたい

思いが行きつ戻りつして、ラブコメの要素もたっぷりです。

試合以外での名場面ベスト3です。

1位 渡米が決まった松田耕作との別れ 最終話 /
   バルセロナオリンピック準決勝前
   ・・・ 当初風祭に憧れつつ、しつこい取材記者でしかなかった松田の存在感
   に気づくのがラスト1年前です。オリンピック準決勝前に会えてその
   気持ちに気づいた時、さらに渡米する松田へその気持ちが伝えられない
   柔の表情、心の表現が見事でした。

2位 花園の男泣き
   ・・・不甲斐ない自分を鍛えに鍛えて、それでもなお届かない優勝
   に男泣き。しかし、富士子はそんな花園に「あなたは私にとって
   世界一のチャンピョンよ」と背中を抱きしめる。

3位 父 虎滋郎 との再会
   ・・・少し身勝手な父だが、柔の会いたい思いを切なく表現する。
 
       
 

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-08-18 14:43:54] [修正:2011-08-18 14:45:25] [このレビューのURL]

中学生にしか見えない童顔の刑事、柴田竹虎、略してシバトラが主人公です。

少年への深い愛情が根底にあるので、どんな不良も最後には仲間になれる

というお話です。

予定調和的なシナリオですので、コミックで読む場合にはやや物足りない面

がありました。

少年誌連載ものとしては、ハラハラドキドキで、まさかの殺人や裏切りが

意外性を出していました。

力を求める少年達を愛情で包んでしまう主人公ですが、剣の達人だから

悪人と立ち向かえるというご都合が、所詮漫画というところで残念です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-08-14 06:55:07] [修正:2011-08-14 06:55:07] [このレビューのURL]

私より家内がはまった漫画。裁判官って職業を世に知らしめた漫画。

判事さんは超多忙で、調査官の助けを得ながら法律と照らしながら処理件数

を消化するしかないのが実態らしい。

桑田判事は、赤字は出さない(処理件数の収支)ほど優秀な判事だが、

一人一人の少年の育成に重きを置いた手入れ(土起し、肥料やり、剪定、追い肥など)

を時間をかけて行う。少年の育成と植物のそれとを重ねて、物語をつむいでいく。

少年の育成に直接効果を与える方法はほとんど皆無、いわば正解がないので、

こんなうまくいかないだろうって、疑問は起こります。

読後感としては、何か消化不良って感じになるのですが、

桑田判事の生き方というか考え方には、一貫性があり重要なメッセージ

として理解できます。

周囲にはいないなあ、こんな人。居ても周辺を巻き込まないから、

影響力は小さいのでしょうね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-08-06 10:36:07] [修正:2011-08-06 10:37:45] [このレビューのURL]

3点 嬢王

夜の世界を描いているのに、女性の荒唐無稽な出世争いのお話。

夜の蝶達の本当の魅力が描ききれていない上、

悲しさや情念を表面的に繕ってしまって、リアリティなし。

お色気場面を取り去れば、少年誌にも使えそうな単純なストーリ展開なので、

読後感として何も残りませんでした。

これから読もうと思う方は、時間つぶしにはOKです。

絵はきれいで、上手いです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-22 20:15:20] [修正:2011-07-22 20:15:20] [このレビューのURL]

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