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10点 GIANT KILLING
プロフットボールのコーチが主人公に間違いないのですが、
これまでにないスポーツの世界を斬新に切り込んでいます。
ひとりのファンタジスタが選手として挫折し、英国でコーチとして
原点に立って、物語が始まります。
主人公を基軸にして、選手の立場から、球団経営側から、
スタッフから、サポーター、敵役の立場から、ドラマを描いていますので、
あまり例を見ない面白さです。
全ての登場人物に共通しているのは、人生をフットボールに
全力で賭けていること、全員が熱いです。
選手の個性も強いですから、コーチ達海の戦略や作戦も読者は
共有でき、納得感が大きいです。
もちろん、ワクワク感がピークになるのは、強いチームに立ち向かう試合。明らかに力の差がある敵に向かう試合で、選手が突然覚醒し、
勝利を得るシーンではあります。
タイトルも、そこを狙っていますからね。
しかし、この作品の飽きさせないところは、試合の間の
チームの立て直しのドラマなんですね。
私のお気に入りは、30巻?33巻あたりの達海の振る舞いですね。
3連敗した後のコーチは、現実にもあり得ることですが、
恐らく危機感をあおったり、脅したり、選手の入れ替えをしたり、
とにかく選手の尻を叩くことを考えますよね。
達海はどうしたか?
結果的に、読者を含めて、チームは完全に前を向くようになります。
納得性が高いです。
ぜひ、ここのところを堪能してほしいです。
組織運営やマネージメント、リーダーやキャプテンの立場にある人は、必読です。
35巻まで。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2021-07-22 08:03:51] [修正:2021-07-22 08:03:51] [このレビューのURL]
9点 血界戦線
なかなかの傑作です。
特有の世界観がまず目を見張ります。
人界と異界が交わる街という設定は、私にとってとても新鮮です。
異界と言い切らないで人類との接点を摩訶不思議に描く。
超能力でも吸血鬼でもなんでもありの世界です。
異常世界中で、超絶な戦闘能力を有する秘密結社ライブラの
メンバー達の個性が光ります。
その中にあって、普通の青年レオナルドの普通の感情、
普通の苦しみが異常世界にあって対比関係にあり、
とてもヒューマンな役割を果たしています。
それぞれのストーリーは、良く練られたシナリオの下に、
登場人物のそれぞれの事情を絡めたドラマ仕立てになっており、
一個の映画や小説にも匹敵する内容の濃いものです。
あまりにも伏線が見事なので、1回読んだだけでは、
最初のエピソードの意味が理解できなかったりもします。
しかし、読み返してみると最初からキチンと仕組まれた
ドラマであることがやっと理解できるほど、
巧妙な構成になっていることが多いです。
内藤さんはきっとシナリオライターとしても成功を収めた
才能を持っておられます。
新しいタイプのSF&ヒューマンドラマを体験できました。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2021-07-19 06:13:07] [修正:2021-07-19 06:13:07] [このレビューのURL]
9点 葬送のフリーレン
魔王を討伐した勇者パーティの一人だったエルフの魔法使いが平和になった世界を旅する。
人間より種族として遥かに長寿なエルフ。
それはかつて仲間だった勇者の死を見なければならない事実。
マイペースで拘りも特に無かったエルフも長い旅の途中で多くの人と出会い別れた。
その「離合集散の連なり」が歴史なのだと、悠久の時の流れの中で悟れるのかはまだ分からない。
仲間の僧侶から託された戦災孤児の少女を弟子にして、世界を回る珍道中の開幕!!!
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2021-07-18 23:29:42] [修正:2021-07-18 23:29:42] [このレビューのURL]
5点 20世紀少年
浦沢先生の「MOSTER」に次ぐ作品。近年に実写映画化もされた。
60年代を過ごした子供たちが大人になり現実の壁にぶつかり苦しんでいた90年代。
幼い頃の空想の世界の滅亡と立ち向かう仲間たち。
が、その空想の世界を滅ぼそうとする悪の首謀者は「自分たちの仲間の中から出てきた」
集団となり組織化された宗教集団は政界・財界をも巻き込み日本政府の中枢にまで食い込む。
主人公を中心としたかつての秘密基地の仲間たちは冴えない大人の日常を捨てて結集する。
だが、敵の策略によりメンバーは極悪人のレッテルを張られて四散。
近未来は世界を滅亡させようとした男が「人類の救世主」として祭り上げられる偽りの世界が構築される。
子供の頃は様々な夢を描きながらも、大人になったとき現実の壁の前に飲み込まれ、どうしようもなく日々を重ねていたかつての少年・少女たちが
「自分たちの播いた種」を刈り取らねばならなくなる。
そのとき彼等は多くの犠牲を払いながらも人類の滅亡を救う真の救世主として生まれ変わることになるのだ・・・・・・。
だが・・・・そうなった後に彼等は本当にこの結末を望んだだろうかと考える。
「否」。
自分たちが歴史の教科書に勇者として記されるよりも、たとえ冴えないサラリーマン生活であったとしても、平和で穏やかな日常を選んでいたことだろう。
夢を描いていた少年時代から大人になったとき、後悔の連なりかもしれない。
だが、それでも彼等の戦いの軌跡を目にすることで人類は再出発のラインに着いた。
終盤のグダグダと「後付けしたかのような」ともだちの正体が残念なのだが、引き込む力は流石だ。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-07-25 08:18:48] [修正:2021-07-18 22:58:07] [このレビューのURL]
7点 血の轍
「惡の華」で知られる押見先生の最新作。
冒頭、母親とおぼしき女性に手を引かれ散歩する幼子。途中で道路に横たわる猫を見付けるのだが・・・・。
場面は変わり、夢が覚めて母親に促されて朝食をとる少年。その朝食が「肉まん」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?
朝食が「肉まん」?平凡な日常の描写の中に違和感のある描写が混じる。
物語の舞台は日本の群馬県。
少年の名は「長部静一(おさべせいいち)」。
生年月日は1981年3月19日。
学年は中学2年生で早生まれだから年齢はまだ13歳。
時代は昭和から平成へと移ってから6年が経過しようとしていた・・・・。
でもそれはそれ。日本の一都市にある平凡な核家族の何処にでもあるような風景のひとつに過ぎない・・・・・はず。
静一には父の兄弟の子供で従兄弟に当たる男の子がいてよく遊びに来ていた。
夏休みに入る前にも毎週のように遊びに来る従兄弟とその母親。
清一と母親は毎週のように歓迎した。
そして、夏休みに双方の家族で山登りに行く。それが悲劇の引き金になるとは誰も思っていなかった。
思っていなかった・・・・・・・・・・・・はず・・・・・。
母親にとって息子とは自分の胎内から出でた異性。
それは親としての範疇を逸脱した愛情を注ぐ存在か?
母親のセリフからは全く母親の真意が汲み取れず、表情や仕草や態度で母親の心情を表すという構成が見事!
1巻では母親の親族は全く登場せず、母親の実家での育成環境は察し難い。
「日常生活で忍び寄る恐怖」は足音さえ立てない。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2021-07-18 22:56:25] [修正:2021-07-18 22:56:25] [このレビューのURL]
3点 激闘一番!
ガンガン創刊号で連載がスタートした「本格格闘漫画」・・・になるはずだったが打ち切られた作品。
最初は「マシャール・アーツ」だとか「古武術」だとか尤もらしい解説も付いての登場だったのに、墓内命(はかない・いのち)が登場した辺りで打ち切りが決まったらしく、作者がヤケを起こしてそれまでの作風を一変させたのは凄かった!
キャラが次々とゲロを吐いたり、獣化しだしたり、創刊号で一番たち新入生を「熱い言葉」で激励していた校長先生がヘリで学園を逃げ出したり・・・という、それまでの展開がウソのような(お寒い)ギャグ漫画に成り下がった。
最後の最後で「打ち切りの鬱憤」を晴らした作者の「キレっぷり」は凄まじいが・・・・「自らの首を絞めた」と言えなくもない・・。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2021-07-18 22:51:44] [修正:2021-07-18 22:51:44] [このレビューのURL]