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6点 うしおととら
高い評価の作品でしたので、いつか読みたいと思っていましたが、
ようやくその機会を得ました。
今や、藤田和日郎氏の本作品は、レジェンドとなったような気がします。
ここでのレビューも高い評価を得ています。
壮大なスケールの妖合戦や時間の往来で、四次元の深みを出しています。
ベースになっているのは、主人公うしおの絶対的な人間愛で、
軸がぶれません。
愚直で真っすぐな思いと行動で、あらゆる人間、妖までも、心が
溶かされてしまいます。
とらは、対極にあって、悪行の権化ではありましたが、
うしおとの出会いにより、やはり心が溶かされていきます。
そのプロセスが好評を博したのでしょう。
特に、最終巻近くになりますと、白面の者というラスボス、
最強の敵との決戦への期待が膨らんできます。
秒読みが始まりますが、最後はまだまだやって来てほしくないと
いう気にすらなります。大作にふさわしい大団円でした。
しかし、私は個人的にはちょっと合わない点を感じましたので、
マイナス4点をつけています。
一つは、うしおの真っすぐな愚直さは、説得力に欠けることですね。
大局感に立つと、目の前の小さな犠牲はやむなしとなるのですが、
そこは選択できないうしおに、ちょっとイラついてしまいます。
ヒーローの正義というのは、そういうものなんでしょうが、
調子良く事態が好転するのは納得できません。
もう一つは、普段は絵の下手な作品もたいてい受け入れる私ですが、
藤田氏の絵はところどころで、理解不能になるので、好きになれません。
また、女性の書き分けができておらず、ザンバラ髪の女性が多いので、
ヒロイン達をちっとも美しく感じないのです。
私だけでしょうか?
この辺りは、個人的好みかもしれませんが。
全巻読破しました。
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[投稿:2021-06-27 07:05:29] [修正:2021-06-27 07:05:29] [このレビューのURL]
7点 ストッパー毒島
プロ野球大好きの私にとって、全ての実在選手にあるあると
ハロルド作石氏の高いレベルのプロ野球への愛を感じます。
独特のユーモアセンスが私には心地よく、名作ゴリラーマン
に通じるエンターテイメントです。
ただし、12巻を通した苦言を呈しますと、高校生で実績の
なかった毒島がドラフト8位で入団以降のゆっくりとした
サクセスストーリーを期待しましたが、すぐにストッパーの
座を1年目で獲得したかと思うと、早過ぎる展開と思い
直したか、それ以降長く低迷してしまいます。
また、必殺の決め球を引っ提げて復活するも、いつのま
にかヘタレてました。
このようにメインシナリオが迷走しているのが、
長期連載できなかった主因と考えています。
終盤には、ミラクルアスレチックスのチームとしての
活躍を主軸に一気に物語が盛り上がってゴールという
展開に異論はありませんが、ちょっとプロ野球を舞台に
した話として違和感を感じます。
毒島はもちろん、本上も清水も佐世保も加瀬も、必死
過ぎるのですね。
高校野球なら理解できるのですが、選手寿命を終える
リスクを賭けてプレーするスタイルは、プロとは言えず
設定場面が違っています。
ハロルド作石氏の作品は、これ以降ややシリアス路線に
踏み出していますが、残念ながら本作とゴリラーマンの
独特の味わいが継続されず、失敗している感があります。
再度、元のセンスを復活してもらって、
楽しませてもらいたいものです。
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[投稿:2021-06-26 09:07:38] [修正:2021-06-26 09:13:13] [このレビューのURL]