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7点 かもめ☆チャンス
近年流行りで数多いロードレース漫画でも絵の上手さと迫力があって、ロードバイクやレースの解説(ややクドい箇所もあるが分かりやすく、作者の愛が伝わる。ここまでの心理戦や戦術があるとは驚いた。主人公をエースでなくアシスト役にしたのも効いている)、社会人目線の人物描写など総合的にも高いレベルでまとまった作品ではないかと思います。
物語的に主人公が子持ち社会人な故の等身大な前半とプロクラスに立ち向かう後半に分かれますが、前半の方が練習・日常生活描写を含めて面白かったです。後半は本格的なレースばかりで間延びも感じましたし。物語に確たる軸がないのですが、後半はどこ行ってるんだと多少不安になったことも。それでも後半なりの面白さはありますし、最後も打ち切り気味ながらそれなりに畳まれています(読後感が悪くなく続きも気になる余韻を残す塩梅)。
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[投稿:2017-06-27 20:58:09] [修正:2017-06-27 20:58:09] [このレビューのURL]
3点 ギミック!
ツッコミどころ満載で幼稚な表現が多い作品です。
例えば、快速走行で追いかけてくる婆さんのカラクリは、
自動車が引っ張る絨毯の上に乗って走っていました。
これは電車の中で走る現象と同じです、という説明です。
この類のバカバカしい話を真面目に毎回青年誌向けに
展開しているので驚きます。
少年向けとして割りきる分には耐えられますが、
青年向けに真面目に連載していたなら、
読者の知能を馬鹿にしていると言えるでしょう。
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[投稿:2017-06-26 16:47:41] [修正:2017-06-26 16:47:41] [このレビューのURL]
この人の漫画は、「何も起きていないのに、面白い」と思う。
普通は、「何かが起きて、それが面白い」だと思うのだけれど。
何か魅力的なことが始まって、私たちはそれに惹きつけられる。
でも、この作品は違う。
ほとんど何も始まらないまま、ずるずると読者を引きずっていこうとする。
「始まらない」のは主人公の本気の人生でもあるのと同時に、この漫画のスタイルそのものでもある。
そういう意味で、とても味のある作品を描く人だと思う。
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[投稿:2017-06-26 00:16:58] [修正:2017-06-26 00:16:58] [このレビューのURL]
9点 闇金ウシジマくん
「怖いもの見たさ」という言葉をこれほど強く意識した漫画はない。
私たちは基本的に美しいものが好きで、醜いものは見たくない。
でも、人間ってそんなに単純でもない、と思い知らされた。
あまり入り込むと、自分の感情が歪んでいきそう。
例えば、作中でどん底に落ちた人間と自分を比べて安心するようなものの考え方は、健全とは言い難いから。
しかし、何が凄いって、これだけ陰惨なのに、ちゃんとエンターテイメントとして成立しているところ。
そして、主人公だって社会の屑なのに、ちゃんとヒーローとして成立しているところ。
ウシジマ君は善人ではないが、筋は一本通っている。
情報が溢れ、子どもですら単純な勧善懲悪なんて信じなくなった現代、まさに、時代に求められたヒーロー像と言えるかもしれない。
「大人になるとは、孤独を受け入れること」。
闇金を賛美するきはないが、この一点には、全面的に同意する。
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[投稿:2017-06-26 00:13:41] [修正:2017-06-26 00:13:41] [このレビューのURL]
9点 アカギ
まことに失礼なことを言うが、少なくとも絵を見て「読みたい」と感じさせる漫画では全くないと思う。
漫画は、雑に言えば、絵と文字だ。
その絵に、魅力はない。
正確には、この絵に「味がある」と感じるのは、実際に読んで、漫画の世界に引き込まれた後の話であって、「入口」での魅力ではない。
そういう「飛車角落ち」のような勝負を漫画という賭場で仕掛け、それに勝利した福本氏は、本当に凄いと思う。
「そんなギャンブル、ありかよ」と作品の中で何度も感嘆したが、そもそもの尋常ではないギャンブルは、福本氏が「漫画」を選んだ、というその事実ではなかろうか。
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[投稿:2017-06-26 00:08:05] [修正:2017-06-26 00:08:05] [このレビューのURL]
10点 ジョジョの奇妙な冒険
「スタンド」というアイテムにしても、あらゆる面でも表現方法にしても、「ジョジョ」というのがもう、ひとつの発明であって、「ジョジョ」がなかったら生まれてこなかった、という作品は結構あるんじゃなかろうか。
そういう意味で、ほとんど革命的な作品であり、同時に、完成品でもある、という稀有な例だと思う。
個人的には、四部が一番好きだ。
学生時代、いつか子どもが生まれたら、「仗助」と名づけようと半ば本気で思っていた。
そういうことである。
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[投稿:2017-06-26 00:04:09] [修正:2017-06-26 00:04:09] [このレビューのURL]
6点 東京タラレバ娘
私は既婚の男性だが、結構、心に響いた。
それは多分、この漫画の登場人物たちが、「後悔」を認めて、もがいているから。
誰かがよく言う。
「後悔はありません」と。
ホンマかいな、と思う。
そういうことにしたいだけちゃうんかい、と。
後悔を認めて生きるのは、怖いことだから。
カッコ悪いことだから。
でも、今の時代、高校球児から未婚のアラサーまで、みんな、ちょっと言い過ぎじゃないか。
「後悔はない」なんて。
その欺瞞(全ての「後悔はない」がそうだとは言わないけれど)が、この漫画にはなかった。
愚かで、醜いけれど、正直な人たちの漫画だった。
後悔は、ある。
彼らにも、私にも。
「いつか、今を後悔することになるんじゃないか」って、軽く怯えながら生きている。
それでも、今の自分が自分であることに、トータルとしては、満足かな、と思えるなら、きっとそれで十分、幸せなのだと思う。
そう思わせてくれる理由のひとつが、誰かにとっては、結婚、であったりするのかもしれない。
少なくとも、私にとってはそうだ。
何だか、妻にすごく感謝したくなった。
私にとっては、そういう漫画だった。
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[投稿:2017-06-25 23:58:56] [修正:2017-06-25 23:58:56] [このレビューのURL]
7点 漂流ネットカフェ
トータルで言えば、別に巨大な後悔とともに人生を送っているわけじゃない。
それでも、「もしあのとき……」という思いは、ないわけでもない。
本当は、今のままで、十分幸せなのに。
そんな主人公の姿は、妙に身につまされた。
そして、「惡の華」にしてもそうなのだが、この作者は、すこぶる妄想に走りながら、最後には日常に帰ることを受け入れるというか、日常というありふれた退屈を生き抜くことの価値や美しさを描いているように感じた。
妄想は日常から逃れるためのものであると同時に、日常を生き延びるためのものでもあるのかな、と思った。
そんなことを感じたのは初めてで、私はこの漫画を忘れないだろうと思った。
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[投稿:2017-06-25 23:50:37] [修正:2017-06-25 23:50:37] [このレビューのURL]
8点 今際の国のアリス
結末には賛否両論あると思うが、私はこれ以上のオチも浮かばないし、ある意味で、この漫画にとても相応しいラストだとも思うので、特に文句はない。
ともかく、「過程」は本当に面白かった。
子どもの頃、かくれんぼに感じたみたいなドキドキがあった。
ひとつひとつのゲームが非常によく練られていて、完成度が高い。
ただまあ、途中のスピンオフはいささか多すぎる気もする。
個人的には、「今際の国」にちょっと憧れてしまった。
今の日常に大した不満があるわけでもないのに、実際に迷い込んだらすぐ帰りたくなるに決まっているのに。
心の奥底には、あるのかもしれない。
逃避への願望か、非日常への渇望か、命がけの遊びへの切望か。
私にも、もしかしたら、あなたにも。
もしそうであるならば、私たちの目の前に、この漫画の、今際の国への入り口は、真っ赤な口を開けて待っている。
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[投稿:2017-06-25 23:44:25] [修正:2017-06-25 23:44:25] [このレビューのURL]